1.1. これまでの略歴
私は看護師として37年の経験があり、15年間は急性期病院、その後22年間は高齢者施設で様々な看護経験を積み上げてきました。病院時代は内科, 消化器外科, 循環器内科, 整形外科, 泌尿器科, 脳神経外科, 産婦人科など、多種多様な診療科を経験しております。さらに22年間の高齢者施設での勤務では、「老年看護」というフィールドで活躍し、高齢者の疾患の管理や、認知症ケア・終末期ケアについての学びを深めてきました。
1.1. 国際的な活動と、オルト教授との出逢い
貴重な機会をいただき、2016年3月はフィンランドとスウェーデン、2017年はドイツ(フランクフルトとミュンヘン)、2018年はイギリスへ、計4カ国への介護視察へ出向きました。他国の医療職との交流を通して、それぞれの国の医療・介護の在り方や、高齢者ケアや認知症ケアについても理解を深めることができ、研鑽を積んできました。
また、2019年10月は高齢者ケアに関する国際会議があり、再度ドイツのミュンヘンを訪れました。この国際会議は様々な国から大勢の医療関係者が集まりました。そして、この国際会議で出逢ったのが「オルト教授」です。オルト教授は、私の看護経験や、日本での認知症ケアの質の向上に力を入れ、講演活動や執筆等に取り組んでいることを知り、ご自身が研究開発されている「自己脂肪由来幹細胞治療」について、お話して下さることになったのです。
1.2. オルト教授のご自宅への訪問
翌日、私はドキドキしながら教授のご自宅にお邪魔しました。そこで、教授から「自己脂肪由来幹細胞治療」の具体的な研究内容や、患者の治療経過などを詳細にお聞きしました。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病の改善、乳房切除後の再建、褥瘡の治癒、膝関節靭帯損傷の回復、大腿骨の骨頭壊死の回復など、たくさんの事例の説明を受け、その治療効果に驚き、このような治療が可能になっている現実に感動しました。
1.3. 病院見学
さらに翌日には、教授が直々に病院見学を案内をしてくださることになったのです。病院はミュンヘン中央駅から徒歩10分程度に位置している大きなプライベート病院です。日本の病院のように外来患者が待っているような大きな待合スペースはありません。オフィスのような医師の部屋に患者が訪ねていくスタイルで、完全予約制です。日本のように何時間も待合室で待たされるなんてことはありません。
この病院では13の専門領域において、医師の中でも特に高度な技術を持ち合わせたスペシャリストが揃っており、最先端の治療を行っています。オフィス棟, 入院エリア, 検査エリア, OPエリア, 画像診断エリアなど、30分ほど病院内を巡りました。
その後、教授室に案内され「君が日本から患者さんを連れてくるならば、ここで治療が可能だよ」と言っていただきました。それだけでなく、「自己脂肪由来幹細胞治療」の説明書や、PowerPointの資料など、治療に関わる情報を特別に私に下さいました。夜には、素敵なレストランでの食事にご招待頂き、さらに色々なお話を伺いました。
これらのことを通して、日本から「自己脂肪由来幹細胞治療」を受けたい方をオルト教授へ紹介し、多くの人が救われるようにしようと強く決意し、帰国しました。
1.4. システムの実働
その後、「自己脂肪由来幹細胞治療」を希望する患者をドイツへ紹介・渡航できるシステムの実働に向け、準備を始めた矢先、Covid-19によるパンデミックとなってしまいました。なかなか自由に行動ができない日々でしたが、その期間もオルト教授と連絡を取り合い、準備をすすめてきました。そして2022年から、システムを本格的に始動させ、一人でも多くの方にこの素晴らしい治療を受けて頂くことを目標に活動しております。